公務員の汚職が極端に低いのは世界で日本だけ?

 

 

 

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先日、リオのオリンピックが無事閉幕し、日本選手の活躍が大きく報道されたが、その一方でブラジルの行政について気になったので調べてみた。

ブラジルは日本人にとっては陽気な国といったイメージだが、実は所得格差が激しく、治安も悪い国だ。
たまたま先日見た映画「エリート・スクワッド」という映画がブラジルの情勢を詳しく物語っていると、ブラジル人の友人から実際に聞いた。

この映画はリオ・デ・ジャネイロでギャングを取締まる特殊部隊を題材にした映画だが、現地のファベーラ(貧民街)とそこで暮らすギャング、また腐敗した警察をリアルに描いている。
私もかつてブラジルを訪れたが、ファベーラはいたるところに見られた。

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http://www.infotravel.club/1562/rio-de-janeiro-favela-crime/より。

 

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この映画のように、腐敗が腐敗を呼び、ブラジル全体が毒されているという。
これは前大統領の逮捕が物語っているように、ブラジル全体に深く根付いているようだ。 

ここで一つの疑問が浮かぶ。

 

「なぜ日本では汚職のニュースをほとんど聞かないのか」

 

日本では警察を好きか嫌いかは別として、皆信頼しているのではないか。
それに警察が賄賂を受け取ることなどないと多くの人が思っているはずだ。
この答えは橘玲氏の著書「(日本人)」に垣間見ることができる。

 

 

日本の公務員が賄賂を要求しないのは日本人が潔癖だからだといわれるが 、これも世俗性から説明可能だ 。血族や結社などの社会保障がない日本社会では 、イエとしての会社 ・役所から排除されると生きていくことができなくなる 。
さらに日本の人事制度では 、公務員は満額の退職金をもらってはじめて労働の正当な対価を受け取れるようになっているから 、途中で解雇されるような行為はきわめてリスクが高い 。賄賂を受け取ることは 、それが招く災いを考えればまったく割に合わないのだ 。
(中略)
だが贈収賄が損になる社会では 、自然とそれが潔癖さという文化を生んで 、ひとびとは無意識に賄賂を忌避するようになるはずだ 。

 

さらに、医師への心づけや政治家の度重なる収賄事件を見れば日本人が賄賂を本質的に嫌っているわけではないという。
文化的なしばりのないところではアジアやアフリカやラテンアメリカの国々と同じことが起きるのだ。

日本人は学校や会社など、たまたまその場でいっしょになったひとたちだけで共同体を作る習性があるため、このような日本独特のムラ社会において、一度汚職をはたらくと追放され生きていけなくなるのだ。
したがって、日本では今後も汚職が起こることは限りなくゼロに近いだろう。
日本人が合理的な判断をし続けるまで。